We Cityはどのような学習効果があるの? - We City #7 レポート②

3月8日に開催した We City #7 では、たくさんのこどもたちが「まちの市民」として、働いて、お金を得て、買い物をして、納税して、投票して、社会のしくみにふれる時間を過ごしてくれました。


今回あらためて感じたのは、こどもたちには社会を学ぶ力がちゃんとあって、しかもそれを“自分ごと”として受け取る力があるということです。

アンケートからも、学校で学ぶ算数や国語が、仕事や社会の中で生きていることへの驚きや、納税や選挙を「難しいもの」ではなく「まちづくりに参加すること」として捉え直している様子がたくさん見えてきました。

また、ニュースの見方、法律の考え方、だれかの気持ちを想像すること、自分らしさを形にすることなど、それぞれのブースでの体験を通して、こどもたちが一つの正解だけではなく、多様な立場や考え方にふれていたこともとても印象的でした。

ただ楽しかったで終わるのではなく、「将来は選挙に行きたい」「もっと知りたい」「自分にもできるかもしれない」という声につながっていたことが、本当にうれしかったです。 

 We Cityは、職業体験の形を借りながら、社会は誰かが決めるものではなく、自分たちも関わり、つくっていけるものなんだと感じられる場だと思っています。

今回のWe City #7も、そんな学びの芽がたしかに生まれた時間になりました。 

こどもたちの「やってみたい」「知りたい」「変えてみたい」が、これからも育っていく場を、また丁寧につくっていきたいです。


1. アンケート全体から見える、こども達の学びの変容について

こどもたちの自由記述からは、主に以下の4つの傾向が見て取れます。

「教科と社会」の繋がりへの驚き: 学校で学ぶ算数(図形・計算)や国語(理由を伝える・要約)が、実社会の仕事で役立つ「道具」であることを実感したという声が非常に多く見られました。

主権者意識の芽生え: 納税を「まちづくりへの参加」と捉え直したり、選挙に行かない人の気持ちを考えることで「将来は選挙に行きたい」という意欲が高まったりする変化が見られました。

多角的な視点の獲得: ニュースの裏側や、自分とは異なる意見、法律に基づいた公平な判断など、物事を多面的な視点で見ることの面白さを学んでいます。

 自己理解と将来への希望: 自分の性格に合った仕事を発見したり、体験を通じて将来の夢への自信を深めたりするポジティブな反応が目立ちました。


2. 各授業の内容とアンケートの簡潔なまとめ

アーティスト

授業内容:自分の願いをアートで可視化し(図工)、理由を添えた3つの文(国語)で「意見表明」を行うことで、主権者意識と子どもの権利を学びます。

アンケート:「子どもの権利をもっと知って、みんなに教えたい」といった声や、絵で自分の思いを伝える楽しさを実感した感想がありました。


インフルエンサー

授業内容: 見やすい投稿案を作成しながら、算数の比較や国語の表現力を学び、肖像権や著作権といった発信のルール(社会)を習得します。

アンケート: 「ユーチューバーとの違いがわかった」という職業理解や、「カメラとまとめ役ができてよかった」といった役割への満足感が見られました。


ジャーナリスト

授業内容: 多角的な視点での取材(社会)を体験し、5W1Hや数字データ(算数)を根拠にした正確で伝わるニュース原稿(国語)を作成します。

アンケート: 「楽しかった」という声とともに、SNS動画を回す体験など実社会に近い活動への興味が示されました。


ファッションデザイナー

授業内容: 固定観念にとらわれないデザインを目指し、図形の性質(線対称・点対称)や身体の計測(算数)を用いて「自分らしさ」を形にします。

アンケート: 「算数がデザインに繋がることに驚いた」「男女差別をなくすユニバーサルデザインが良いと思った」と、深い学びが綴られています。


裁判所(裁判官・検察官・弁護士)

授業内容: トラブルに対し、法律という物差しを使って、多角的な視点から真実を確かめ、公平に解決する方法を体験します。

アンケート: 「物事をいろいろな視点から考えることができて面白かった」「リアルにできて楽しかった」という手応えが多く見られました。


政治家・議員

授業内容: 街の困りごとを「裏取り」して発見し、算数と国語の力を使って解決のための「法案」を作成。議会での討論を通じて合意形成を学びます。

アンケート: 「友達の意見が楽しかった」「法律のことも話したい」など、対話や制度への関心が向上しています。


選挙管理委員会

授業内容: グラフから将来を予測(算数)し、共感マップで行かない人のニーズを探って、投票を盛り上げるキャッチコピー(国語)を考案します。

アンケート: 「大人になったらたくさん選挙に行こうと思った」「選挙を知らないことがたくさん知れた」と、参画意欲が高まっています。


税務署

授業内容:税金を「街の未来へのチケット」と定義し、公平なルール設計や価値を伝えるコピー作り、窓口での徴収実務を体験します。

アンケート:「納税はまちづくりへの参加だとわかった」「みんなで協力して納税するのが楽しかった」と、肯定的な意見が集まりました。


銀行

授業内容: 預ける・貸す・動かすという役割を学び、地域経済の状況に合わせて金利を変動させることで、経済を支える仕組みを体験します。

アンケート: 「銀行の仕組みや金利についてわかった」「お金の計算(渡す・引き出す)が難しかったが楽しかった」という感想がありました。


公認会計士

授業内容: 企業の決算書が正しいかチェックする「監査」を体験。領収書から経費を判断し、正しい利益や納税額を計算する役割を学びます。

アンケート: 「計算ばかりだと思っていたけれど、そんなことなかった」「わかりやすく教えてくれた」と、仕事の本質への理解が見られました。


株式会社

内容:食品ロス問題をテーマに、仕入れ・融資・価格設定・販売の一連の流れを体験し、売れ残りを出さないための戦略と利益計算を行います。

アンケート:「ちゃんと値段をつけてやったら、すごいうれた」「タイムサービスで1円にしたらたくさん売れた」と、販売の工夫を実感しています。


広告代理店

内容:広告の社会的役割を学び、商品の魅力を正しく伝え、かつ誰も傷つけないキャッチコピーやポスターを制作します。

アンケート:「相手がどう感じるかを考えながらやれて面白かった」「デザインでドーン!と伝える工夫がわかった」という感想がありました。


保険屋

内容:生活のリスクを分析し、確率(算数)を用いて保険料を計算。相手の不安に寄り添う「未来の安心」をデザインするプランを提案します。

アンケート:「保険のことを知ってよかった」「もしもこんなことが起きたら…と考えられて楽しかった」と、備えの重要性を学んでいます。


防災士

内容:揺れた時の危険箇所探しや、避難所での配慮を考えるワークを通じて、自助・共助・公助と、学習が命を守る武器になることを学びます。

アンケート:「防災についていろいろ知ることができた」「避難所の対策方法を考えるのが楽しかった」という声が寄せられました。 


仕事自分発見

内容:自分のタイプを診断し、興味や性格に合った仕事を見つける体験。 

アンケート:「自分に合った仕事を見つけられた」「タイプが当たっていてびっくりした」と、自己理解が深まった様子が伺えます。


研究所(アイス作り)

内容: 科学的な理由を学びながら、実際にアイスを作る体験。

アンケート: 「なんでアイスが作れるのか理由が知れて嬉しかった」「とてもおいしかった」と、知的好奇心と満足度が共に高い結果でした。


3. 成果と課題

「We City #7 」の事業全体を通じた総括を、各資料の目的・経過・成果に基づき、以下の通りまとめました。


1. 事業の核心:社会を「自分事」として捉え直す体験

本プロジェクトは、単なる職業体験イベントではなく、「リアルな社会をおもろく学び、自分たちで創る」ことを目的としたシティズンシップ教育の場でした。

こどもたちは仮想の街の市民として、自ら働き、納税し、街のルール(法案)について議論するプロセスを一貫して体験しました。

これにより、社会を「誰かが作ったものを受け取る場」から「自分たちが関わり、変えていける場」へと認識をアップデートする機会となりました。


2. 学習と社会の接続:「学校の勉強は未来を創る道具」

各ブースのプログラムにおいて最も強調された成果の一つが、「教科と社会の繋がり」の実感です。

算数: 「計算」や「図形」「統計」が、服のデザインや保険料の算出、ニュースの説得力を高めるための不可欠な「武器」であることを学びました。

国語: 「伝える力」や「要約」が、自分の願いを意見表明(アーティスト)したり、投票率を上げるためのキャッチコピーを作ったりするために必要であることを実感しました。

社会・理科: 「権利」「防災」「経済の仕組み」などを通じ、知識が自分や誰かを守るための「盾」になることを理解しました。

アンケートでも、「算数がデザインに繋がることに驚いた」「勉強がこんなところで使えるんだとわかった」といった、学習意欲の向上に繋がる声が多数寄せられました。


3. 主権者意識の変容:納税と投票の再定義

従来の「義務」や「遠い出来事」というイメージを、ポジティブな「参画」へと塗り替えました。

納税: 税金を「街の未来へのチケット」と定義し、自分たちの払った税金がどのように街を良くするかを議論したことで、納税を「まちづくりへの参加」として肯定的に捉える変化が見られました。

選挙・政治: 「自分の一票で街が変わる」ことを、模擬議会や選挙管理委員会の体験を通じて実感しました。アンケートでは「大人になったらたくさん選挙に行こうと思った」という決意が目立ちました。


4. 多角的な視点と多様性の尊重

ジャーナリストや裁判所のワークを通じて、「真実は一つではない」ことや「立場によって見え方が違う」ことを学び、感情に流されず公平に判断する思考力を養いました。

また、ファッションデザイナーの体験では「男の子だから」「女の子だから」という固定観念を外し、自分らしさを大切にする姿勢を育みました。


「We City #7 」は、こどもたちが「社会は自分と関係がある」という確かな手応えを掴む場となりました。

アンケートの結果からは、自己理解の深化(仕事自分発見)や、他者への想像力(インフルエンサー・広告代理店)、そして社会参画への意欲向上が顕著に見て取れます。

中高生や大学生がボランティアとして運営を支える多世代共創のモデルとしても機能しており、次世代の主権者を育む持続可能な学びのプラットフォームとしての成果を収めました。


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